せどりを始めて少し経った頃、懇親会とは別に「せどらーの集い」という集まりにも顔を出すようになった。そこで見せてもらった動画がずっと記憶に残っている。棚を検索もせず、利益商品をどんどんカゴに入れていく動画だ。今回はその話と後日知った種明かし、そして自分がやっていた全頭検査との繋がりについて書いてみる。

「せどらーの集い」で聞いた話

懇親会に参加するようになってから、メルマガ経由で「せどらーの集い」という別シリーズの集まりにも何度か顔を出した。懇親会よりもう少し実践寄りの場だったと記憶している。仕入れの様子をそのまま見せてもらえたり、動画で紹介されたりすることもあった。

そこで見せてもらった動画のひとつが今でも忘れられない。

検索もせず利益商品を拾っていく動画

内容は単純だった。中古ショップの棚を映しながらスマホで検索することなく次々に商品をカゴへ入れていく。パッと見ただけで「これは利益商品だ」と分かっているような動きだった。せどりを始めたばかりの自分からすると手品でも見ている感覚に近かった。相場も分からないのに見た瞬間判断できるなんてあり得るのかと本気で思った。

手の動きに迷いがなく、次から次へと商品を拾っていく。だからこそ「これは本物のセンスなんだろうな」と信じ込んでしまうくらいの説得力があった。

当時の自分は全頭検査をやっていたものの判断のスピードはまだまだ。1店舗に何時間もかけていた時期だった。だからこそあの動画のスピード感に余計に衝撃を受けたんだと思う。

後日聞いた種明かし

しばらくして、その動画を撮った本人と直接話す機会があった。せっかくなので撮影方法を聞いてみた。

答えは拍子抜けするくらいシンプルだった。事前にリサーチを済ませて利益商品を見つけておき、それをあらかじめ分かりやすい場所に置き直してから撮影していたという。あの場でゼロから判断していたわけじゃない。答えを知った状態で「答え合わせ」を撮っていただけだった。

考えてみれば当たり前の話でもある。本当にノールックで棚から利益商品だけを拾えるなら、それはもうリサーチという作業自体が要らなくなる。せどりというジャンルの構造上、そんな超人的な話はそもそも成立しない。頭では分かっていたはずなのに、動画の見た目のインパクトに引っ張られて一瞬信じかけていた自分に気づいた。

種明かしを聞いて逆に感心した

種明かしを聞いてがっかりするかと思いきや、むしろ感心した。そうやって動画を撮るのかと。魔法みたいな才能じゃなくても、見せ方の工夫でここまでインパクトのある動画になるのかと素直に驚いた。実際のリサーチ作業をそのまま流しても地味すぎて誰も見てくれないだろうし、あの見せ方は理にかなっている。

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演出だったと分かったからといって、あの動画から受けた刺激が無駄になったわけでもない。「見ただけで分かる状態」自体は実在する。ただそれは撮影用に作られた一瞬ではなく、日々の積み重ねの先にあるものだった。

全頭検査と地続きだった

自分がやっていた全頭検査は、まさにその「見ただけで分かる状態」を地道に作る作業だったんだと後になって気づいた。売れない商品・利益が出ない商品を先に覚えておく。すると棚を見た瞬間に「これは違う」「前回と変わっている」と判断できるようになる。動画のような派手さはないが、やっていることの本質は近い。

演出込みの動画は数分で「答え」だけを見せてくれる。でも実際にその状態にたどり着くには何十店舗何百回という棚の見比べが必要になる。近道に見えて実は近道じゃなかった、という話でもある。

自分の場合、CD・DVD・ゲーム中心に回っていたので、ジャンルが絞られていた分だけ全頭検査との相性は良かったと思う。同じ棚を何度も見比べていると、動いた商品と動いていない商品の境目が自然と頭に入ってくる。最初は「これはさすがに無理じゃないか」と思っていた領域に、気づけば自分も足を踏み入れていた感覚があった。

地道な積み重ねは再現できる

「見ただけで利益商品が分かる」というのはせどり界隈でちょっとした都市伝説みたいに語られることがある。生まれつきのセンスとか特別な嗅覚があるかのように。ただ自分の経験からすると、あれは再現できるものだと思う。全頭検査を続けて店ごとの「動いていない商品」を頭に入れていけば、誰でも判断のスピードは上がっていく。

センスという言葉で片付けてしまうと、そこで思考が止まってしまう。「自分にはセンスがないから無理」と諦める理由になりやすい。でも実際は再現性のある作業の積み重ねだと分かれば、あとはやるかやらないかだけの話になる。地味で面倒な作業だからこそ、続けた人だけが判断のスピードを手に入れられるとも言える。

派手な動画のインパクトに憧れるのも悪くない。ただ実際に効いてくるのは地味な積み重ねの方だった。これが自分の結論だ。

今の時代はショート動画で「これだけで稼げる」系のコンテンツがどんどん流れてくる。見ていて楽しいし刺激にもなるけど、鵜呑みにして「自分にはセンスがないからダメだ」と落ち込む必要はない。あの動画も種を明かせば地道な下準備の結果でしかなかった。派手な結果だけを切り取られると本質が見えにくくなるだけで、やっていることの中身は意外と地味なものだと思っておいた方が気が楽だ。

よくある質問

あの動画みたいに検索なしで判断できるようになるまでどれくらいかかる?

店によって差はある。自分の場合は同じ店に何度も通って数ヶ月くらいで判断のスピードが目に見えて上がった感覚があった。全頭検査を続けた分だけ早くなる印象だ。

演出だと分かって、その人への印象は悪くなった?

悪くなるどころか逆に感心した。見せ方の工夫でここまでインパクトを出せるのかと。実際のリサーチ量自体は本物だったので、そこは変わらず信頼している。

全頭検査さえやれば誰でも同じ状態になれる?

ジャンルや店の回転数にもよるので誰でも同じ期間でとはいかない。ただ続けた分だけ確実に近づいていく感覚はある。派手さはないが地道にやるしかない部分だと思う。

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まとめ

「見ただけで利益商品が分かる」動画は種明かしを聞くとシンプルな仕掛けだったが、それを知ってむしろ感心した。そのおかげで、自分がやっていた全頭検査という地味な作業の意味に改めて気づくこともできた。派手な近道を探すより売れない商品を先に覚えるという遠回りの方が、結局は一番の近道だったんだと思う。

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